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成功の秘訣は「プロに任せる」にあり?~ハーバード大学に学ぶエンダウメントの戦略~

いま、海外の大学で行われている「エンダウメント投資」が大きな注目を集めています。エンダウメント投資は、アメリカの大学による寄付金基金の運用を指す言葉になっています。

なぜ大きな注目を浴びているのかといえば、このエンダウメント投資が各経済指標より高いパフォーマンスを低リスクで実現しているからです。

この記事ではエンダウメント投資を読み解きつつ、個人投資家にとっても参考となるポイントをピックアップしてご紹介していきましょう。

公開日:

更新日:2023.06.12

エンダウメント投資とは

エンダウメントは英語でEndowmentと表記し、和訳すると「寄付」という意味になります。

米国の名門大学では卒業生などから受け取った寄付金を基金として集め、その資産を運用しています。その運用で得られた利益が、運営費等に充てられる仕組みになっており、この寄付金基金の資産運用のことを「エンダウメント投資」といいます。

アメリカの名門「ハーバード大学」「イェール大学」等では、運用資産の規模が各大学で数兆円に達し、その資産は、専門部署や専門の投資会社が運用を行っています。

エンダウメントの成功モデルであるハーバード大学

世界最大の資産規模を誇るハーバード大学の基金運用を行っているのは、「ハーバードマネジメントカンパニー」という専門の投資会社です。圧倒的な投資成績を誇る同社の例をもとに、エンダウメント投資の成功要因をみていきましょう。

成功の秘訣は「プロに任せる」にあり

ハーバードマネジメントカンパニー(HMC)は2020年7月~21年6月において、前年比+34%という驚異的な運用成績を残しています。しかもその年だけでなく、長年に亘って「S&P 500(米国の代表的企業を約500社集めた経済指標)」よりも、圧倒的な投資成績を達成しているのです。

※HMC 公式ホームページより

上図はハーバードマネジメントカンパニーの投資パフォーマンスを示したグラフです。S&P 500よりも大幅に上回るリターンを実現しているのがよくわかりますよね。

そんな彼らの信念は“有能で経験豊富なチームが優れた長期的な結果を生み出す”というもの。つまり世界的な資産規模を誇る大学でも、運用に関しては「優秀なプロに任せる」という姿勢を貫いているわけです。

そう、エンダウメント投資の肝は「プロに任せる」にあるのです。

エンダウメントの戦略

ではさらに深掘りして、優秀なプロは実際にどのような戦略で運用を行っているのか見ていきましょう。彼らが圧倒的な運用成績を残せている要因は、主に4つの戦略が挙げられます。

  • 領域ごとのプロに運用を任せる
  • 長期視点で安定的な運用
  • 分散投資でリスク管理
  • オルタナティブ投資の活用

領域ごとのプロに運用を任せる

「餅は餅屋」ということわざがあるように、専門領域の知識はやはり専門家には敵いません。特に投資の世界は、豊富な知識と判断力が求められる領域です。世界最大のエンダウメント投資規模を誇るハーバード大学では、世界中の資産運用会社とパートナーシップを組み、専門領域の運用を任せています。つまり世界レベルの大学だからこそプロフェッショナルの能力を信頼し、高く評価しているということでもあります。

個人投資の領域でも、投資信託やファンドラップなど「運用をプロに任せる」金融商品が存在しています。エンダウメント投資の戦略をヒントに、思い切って一部の運用をプロに任せてみるのも有効な選択肢でしょう。

<参考資料>

ハーバードマネジメントカンパニー パートナーシップ

長期視点で安定的な運用

米国名門大学のエンダウメント投資と、一般的な投資会社の戦略では大きく異なる点が1つあります。それは「長期視点で安定的な運用」です。

一般的な投資の場合、1年単位などの期間に区切って高いパフォーマンスが求められます。したがって10年や15年先に値上がりしそうな資産でも、なかなか好まれないという背景があります。

しかしエンダウメント投資の場合はもともとのお金の出どころが寄付金なので、投資家に対する短期的リターンは必要ありません。つまり、10年や15年といった長期的な視点で運用を行うことができるわけです。この点がエンダウメント投資と一般的な投資の大きな差といえるでしょう。

実は、この長期視点の戦略は個人投資家でも活用可能です。なぜなら個人投資家のお金の出どころは余剰資金であり、短期的なリターンを求めなければ、長期視点での運用も可能だからです。エンダウメント投資の戦略をヒントに短期的な値動きを気にせず、10年や20年といったスパンで資産運用すれば、投資成功の確率を高められるでしょう。

分散投資でリスク管理

圧倒的な投資成績を残しているハーバード大学では、分散投資でリスク管理を行っています。2021年のハーバードマネジメントカンパニーの保有資産比率は、次のようになっています。

<ハーバード大学の保有ポートフォリオ>

  • 株式(PublicEquity)        …14%
  • 未公開株式(PrivateEquity)     …34%
  • ヘッジファンド(HedgeFunds)   …33%
  • 不動産(RealEstate)         …5%
  • 天然資源(NaturalResources)   …1%
  • 債券/国債(Bonds/TIPS)     …4%
  • その他資産(OtherRealAssets)   …1%
  • 現金およびその他(Cash & Other)… 8%

※HMCアニュアルレポートより

上記を見るとわかるように、非常に多彩な資産を保有しています。投資パフォーマンス面だけで見れば株式や非公開株式が他の資産よりも良い反面、リーマンショックのような事態に陥ると資産全体に大きな影響を及ぼすリスクがあります。そのようなリスクを考慮しながら安定的なリターンを実現するため、多彩な資産を保有しているというわけです。

このエンダウメントの分散投資は、個人投資家でも真似できるものです。リスクとリターンのバランスを取りながら、複数の資産に分散投資する思考がポイントでしょう。

オルタナティブ投資の活用

資産運用を行う対象の資産は「伝統的資産」と「オルタナティブ資産」の2種類に大別されます。伝統的資産はいわゆる一般的な投資資産、すなわち株や債券などがこれにあたります。対してオルタナティブ資産は、伝統的資産に「代替的(オルタナティブ)」な資産のことを指します。具体的にはエネルギー先物や不動産、インフラなどがオルタナティブ資産に含まれています。

オルタナティブ資産は、株式や債券等の伝統的資産とは全く異なる値動きをするのが特徴です。流動性が低いため、株や債券のように短期売買はほとんどできないようになっています。その反面、長い期間をかけて大きなリターンを生む資産も多数存在しています。

ハーバードマネジメントカンパニーでは、このオルタナティブ資産に投資を行うことで、リスクをコントロールしながらも大きなリターンを実現しています。

オルタナティブ投資は、個別に行うと個人投資家ではまず介入できません。しかしインフラ系ファンドやJ-REIT(不動産投信)などの投資信託を購入することで、個人でも保有資産に組み入れることができます。ただし伝統的資産よりも個別性が高いので、購入の際は必ず十分な情報収集のうえ判断する必要があるでしょう。

日本の大学基金も模倣する動き

海外の大学と比べると、日本の大学の資金力は非常に乏しいのが現状です。資金力は研究の地盤や教育の質にも影響してくる重要な要素。この現状を打破すべく、日本の大学も海外の大学のようにファンドを創設するような動きが出てきています。

令和3年3月の文部科学省資料では、政府が拠出した資金を大学ファンドの運用に充て、運用益を大学が活用する体制構築が記載されています。

目標にしているのはやはり海外の名門大学で、ハーバード大学やイェール大学もその中に含まれています。このように政府が促すほど、エンダウメント投資は優れた戦略で運用されていることがわかりますね。

エンダウメントの戦略を参考に資産を増やす

ご紹介したエンダウメント投資の戦略は、個人投資家でも見本になるポイントが多々あります。特に「プロに任せる」「分散投資」「長期視点での運用」は、リスクコントロール面から見ても重要といえるでしょう。

ただ、エンダウメント投資では、個人投資家が参入できないような非公開株式や、パフォーマンスのバラつきが非常に大きいヘッジファンドなど、真似できないポイントも存在しています。まずは取り入れられる戦略から、1つずつチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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    販売会社(登録金融機関)の概要

    商号等 株式会社 千葉銀行
    登録金融機関 関東財務局長(登金)第39号
    加入協会 日本証券業協会
    一般社団法人金融先物取引業協会

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