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ちばぎん

初めての相続手続き|知っておきたい相続手続きの流れや
注意するポイントを解説します

相続手続きを初めて行う場合、どのような手順で何をすれば良いのか、迷ってしまうことがあります。相続手続きとは、亡くなった方が遺した財産のうち、相続の対象となる財産を調べて、相続人同士で分配し、各種名義変更や相続税の申告などを行う手続きのことです。

また、その前には、亡くなった方の葬儀をはじめとした死亡届の提出や公的年金などの手続きもあるため、知識がないと何から手をつけて良いか分からず途方に暮れてしまう方もいるでしょう。

この記事では、相続手続きを初めて行う方に向けて、手続きの基本手順や注意点などを解説します。

※ 2024 年3 月1 日より、戸籍証明書の「広域交付制度」がスタートし、本籍地以外での戸籍取得も可能となりましたが、必ずしも全ての戸籍が取得できるわけではございません。

公開日:

更新日:2024.03.13

相続手続きの手順

相続手続きをすすめる夫婦

人が亡くなると相続が発生し、さまざまな手続きが必要となります。相続に関わる手続きは、期限が定められていることが多く、時間もかかるため、優先順位を決めて早めの手続きを行うことが大切です。手続きするにあたっては、全体の流れを理解したうえで各手続き項目を把握しましょう。

1、死亡届の提出

家族が病院で亡くなったら、その病院で「死亡診断書」等が作成されます。もし自宅で亡くなられた場合であれば、かかりつけ医や警察に連絡する必要があり、その際も死亡診断書が作成されることになります。死亡診断書は、さまざまな場面で必要になるため、必ず複数枚のコピーを取るようにしましょう。

死亡届では、亡くなった方(以下、被相続人)の死亡場所や本籍地、届出人の所在地の市区役所や町村役場において、必要事項を記入した届出書と死亡診断書を提出します。提出期限は死亡の事実を知った日から7日以内であり、もし国外で死亡した場合であれば3カ月以内となります。

死亡届を提出しなければ、火葬や埋葬、住民票の抹消などの手続きができなくなるため、早めに提出しましょう。なお、葬儀会社が代行して提出してくれることが一般的です。

2、公的年金・健康保険の手続き

国民年金は亡くなった日から14日以内に、厚生年金の場合は10日以内に、それぞれ住所地を管轄する年金事務所や街角の年金相談センターで年金受給の停止手続きをする必要があります。

国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた場合、亡くなった日から14日以内に市区役所や町村役場に保険証を返納します。企業などの健康保険の加入者であれば勤務先に連絡して手続きします。

公的年金や健康保険の手続きは、どちらも期限が短いため葬儀の準備と同時進行で行う必要があるでしょう。

3、死亡保険金の請求手続き

被相続人が生命保険に加入していれば、死亡保険金の受け取りができるため、加入している保険会社へ連絡する必要があります。申請に際しては保険証券が必要となります。

なお、死亡保険金の受取人が指定されている場合は、手続き後1週間程度で死亡保険金を受け取れるので、葬儀費用や各種手続きなどでかかる費用を賄うために、早めに請求手続きすると良いです。ただし、受取人が指定されていなければ、相続財産とみなされ相続人が確定するまで受け取れなくなるため注意が必要となります。

4、公共料金等の引き落とし口座の変更等

公共料金などの契約者が亡くなった場合、契約の名義や引き落とし口座の変更、または解約をしなければなりません。ただし、注意点として、亡くなるとその方の銀行口座は使用できなくなります。その際、該当口座にて公共料金などの口座振替契約を行っていた場合、その引き落し自体は停止しますが、契約自体は生きているため、別途解約をおこなわなければ料金が発生し続けてしまいます。

もし亡くなった契約者の家に住み続ける場合には、電気やガス、水道、インターネットなどは契約名義と引き落とし口座の変更、家に住み続けない場合は解約が必要となります。

また、被相続人が使用していた携帯電話など、料金が発生するサービスの解約や、パスポート、運転免許証などの返納も忘れずに行いましょう。

5、相続人の確定・戸籍謄本等の取得

相続人を確定させるためには、被相続人の出生から死亡までの戸籍や、改製原戸籍、除籍謄本、相続人全員の現在の戸籍謄本を取得しなければなりません。金融機関の手続きや不動産の相続登記、遺産分割協議、相続税の申告の際に必要となる書類です。

もし子どもがいなければ、被相続人の両親の出生から死亡までの戸籍謄本などが必要となります。また、本来相続人となるはずだった人の死亡や廃除などがあった場合、その子どもが相続分を受け継ぐため、本来の相続人の出生から死亡までの戸籍謄本などが必要であり、子どもの現在の戸籍も必要です。相続手続きの中で、戸籍謄本などの取得は特に時間がかかる大変な作業となるため、早めに準備するようにしましょう。

戸籍謄本などの取得は、「本籍地」に記載されている市役所に、「相続手続きのために出生から死亡までの戸籍謄本などを取得したい」と申請することで取得が可能です。

出生から死亡までの間に「本籍地」が変わっている場合は、取得した戸籍謄本などの中に「従前戸籍」が明記されているため、その明記されている住所地を管轄する市役所に、同様の手続きを行って取り寄せます。戸籍謄本などは、相続人であれば誰でも取得が可能です。

なお、戸籍謄本などが取得できないと基本的には相続手続きは進まないため注意が必要です。

6、遺言書の有無を確認

相続は遺言書の有無によって手続きが変わるため、必ず遺言書の有無を確認する必要があります。遺言書は、一般的に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があります。

自筆証書遺言とは、遺言者自身が自筆で作成した遺言書です。遺言書へ記載されている内容を執行する前に、家庭裁判所に提出して検認手続を行う必要があります。ただし、法務局に保管されていた自筆証書遺言は検認が不要です。検認は、相続人に遺言の存在や内容を知らせるとともに、遺言書の偽造や変造を防止するための手続きとなります。

公正証書遺言とは、遺言者が公証役場において公証人に作成してもらった遺言書です。公正証書遺言の場合、家庭裁判所による検認は必要ありません。

7、相続財産の調査・把握

亡くなった方が保有していた財産のうち、相続の対象となる財産を明確にする必要があります。相続財産は、預貯金や現金、不動産などの他、借金や未払金なども含まれます。

被相続人の銀行口座や証券口座があるかを確認するには、通帳や運用報告書などの手紙などを一つひとつ確認して特定していきます。不動産は、権利証や市役所から取得した固定資産税評価証明書などで特定します。相続財産の把握が漏れてしまうと、遺産分割協議の話し合いや、相続税の申告にも影響が出てしまうため注意が必要です。手掛かりとなる郵便物などがないかを、よく確認することが大切となります。

相続人が財産を特定するのは意外と大変であり、生前のうちに財産目録などを作成すると良いとされているのはこのためです。

8、相続放棄・限定承認・単純承認の選択

相続人は相続財産が明確になったら、「単純承認」や「限定承認」、「相続放棄」のいずれかを選びます。限定承認と相続放棄は、相続開始を知った日から3カ月以内に家庭裁判所で手続きをする必要があります。つまり、相続手続きの方向性の決定は3カ月以内に行わないと、限定承認や相続放棄ができなくなるため注意が必要です。

単純承認は、相続財産のすべての権利や義務を引き継ぐことで、プラス財産だけではなくマイナス財産である借金も引き継ぎます。限定承認や相続放棄の手続きを行わない場合は、単純承認をしたものとみなされます。

限定承認は、被相続人の債務がどの程度あるか不明であり財産が残る可能性もある場合などに、プラス財産の範囲内でマイナス財産を引き継ぎます。

相続放棄とは、相続人がプラス財産もマイナス財産のどちらも引き継がないことです。相続放棄をすると、他の相続人の相続分は放棄者が初めからいなかったものとして算定されます。

9、被相続人の所得税の申告・納付(準確定申告)

被相続人の所得がある場合、相続開始を知った日から4カ月以内に準確定申告し、税金を納付する必要があります。事業などを行っている場合は事業所得や不動産所得など、給与を得ていた場合は給与所得などを申告します。

普段から確定申告をしている場合は、準確定申告をする必要があるかもしれないため、過去の確定申告書類や、確定申告を代行していた税理士事務所に確認しましょう。

10、遺産分割協議の実施(遺言書がない場合)

遺言書がなく相続人が複数いる場合、遺産分割協議を行う必要があります。遺産分割協議とは、相続人全員で被相続人の財産について分け方を協議し合意することです。

遺産分割協議に合意したあとは、相続人全員が内容に拘束されることになります。

11、分割協議の際の特別代理人等の選任

遺産分割協議において、相続人が未成年者の場合は、親権のある親が代理人となりますが、親と未成年者がともに相続人となる場合には、親と子が利益相反関係となるため、家庭裁判所に申立てて特別代理人を選任しなければなりません。

12、遺産分割協議書の作成(遺言書がない場合)

遺言書がない場合には、相続人全員で遺産分割協議を行い、その内容を記した遺産分割協議書を作成する必要があります。遺産分割協議書は、不動産の相続登記や相続税申告、金融機関の口座の相続手続きなどに必要です。

作成にあたっては、相続人全員の署名と押印が必要であり、もし不備などがあると再作成に手間がかかるため間違いがないように注意して作成しなければなりません。

13、財産の相続手続き

遺産分割協議書が作成できたら、各財産の相続手続きを行います。

【預貯金、有価証券:解約、名義変更】

預貯金や有価証券などは、各金融機関で手続き書類が異なるため、それぞれの書式に合わせて手続きを行います。手続きには、相続人全員の署名および実印での押印が必要となるため、あらかじめ相続人のスケジュールを調整して、書類のやり取りができるようにしましょう。

【不動産:取得した相続人への相続登記】

不動産の相続登記は、不動産の所在地を管轄している法務局で行います。相続によって共同名義にする場合、共同名義人で登記する必要があるため、スケジュールを調整して手続きを進めましょう。

【ゴルフ会員権などの各種権利:名義変更】

ゴルフ会員権などの各種権利は、相続する人が手続きします。

14、相続税申告書の作成、相続税の申告、納付

一定額を超える相続財産があれば、相続税の申告と納付手続きをしなければなりません。遺産分割協議によって相続分が決まれば、各相続人の相続税の算出もできます。

財産の相続手続きとあわせて相続税申告書の作成も行うようにしましょう。なお、相続税の申告は、相続開始を知った日の翌日から10カ月以内に行わなければならないため、早い段階から準備が必要です。

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注意するポイント

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相続手続きで大変な部分として「戸籍謄本などの取得」や、「相続財産の調査」、「遺産分割協議書の作成」が挙げられるでしょう。また、相続手続きにあたっては、限定承認や相続放棄する場合の「3カ月以内」、準確定申告の「4カ月以内」、相続税の申告の「10カ月以内」などの期限もあります。

実際に相続手続きをやってみると、思っていた以上に手続きが大変だと感じる方も多く、段取り良く正確に対応していかなければ、期限に間に合わなくなる恐れもあります。

もし相続手続きの負担を軽減させたい場合、専門家に相談することが大切です。ただし期限ぎりぎりで相談しても対応が難しいため、早めに専門家に相談するか、亡くなる前に相談や依頼できる環境を整えておくと、慌てずに済むでしょう。

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相続手続きの依頼はどこにする?

相続手続きを代行できる専門家としては弁護士や司法書士、税理士、行政書士といった士業または、銀行などが挙げられます。

弁護士は、他の相続人との意見が対立した場合などに、相続人との間に入った交渉や、代理人となって遺産分割協議を行います。司法書士や税理士は、それぞれ相続に関わる独占業務があり、司法書士は不動産の相続登記、税理士は相続税申告の代行が可能です。行政書士は、戸籍謄本などの取得の代行などが行えます。

また、銀行では相続人や相続財産の調査、戸籍謄本などの取得、遺産分割協議書の作成、金融機関の相続手続きなどの相談や代行ができます。銀行は士業とも提携しているため、不動産の相続登記や、戸籍謄本などの取得、税務申告など、相続手続き全体の相談が可能です。

相続手続きの代行について詳しくはこちら:

「相続手続き代行は誰に依頼する?委託先の種類や特徴を解説します」

相続手続きは千葉銀行へご相談ください

ここまで、相続手続きの流れや注意点について解説しました。相続手続きにおいては、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本などの取得や、相続財産の調査、遺産分割協議など期限があるなかでやらなければならないことが多くあります。もし相続人だけで相続手続きするのであれば、誰かまとめ役を決めて行うと良いでしょう。

また、相続手続きは代行が可能です。千葉銀行では「遺産整理業務(相続手続き代行サービス)」を提供しており、戸籍謄本などの取得や、相続財産の調査、遺産分割協議書の作成、金融機関の相続手続きなどを代行できます。相続手続きについてお悩みを抱えており、代行を検討している方におすすめです。

詳しくはこちら:

遺産整理業務(相続手続き代行サービス)│千葉銀行

資料請求は下記より可能です。

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千葉銀行では、今回ご紹介した遺産整理業務についてご相談いただくことができます。

詳しく聞いてみたい方は、ぜひ一度お近くの店舗までお立ち寄りください。

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