成年後見制度とは?利用開始までの流れや
メリット・デメリットなどわかりやすく解説します!
将来認知症になった場合に自己財産の管理や契約手続きが困難になる可能性があることを考慮し、成年後見制度の概要や利用開始までの手続き、そして利点と欠点について説明しています。
公開日:
更新日:2023.04.07
目次
成年後見制度とは
成年後見制度とは、認知症や知的障害などを原因として、法律的な行為を一人ですることに不安や心配がある人の財産や権利を守る制度です。そのような状態になると、判断能力が衰えることにより、自分にとって不利益な契約を結んでしまったり、必要以上に散財してしまったりすることがあります。成年後見制度を利用することで、判断能力が不十分になった場合の財産管理や契約などを後見人に任せることが可能です。成年後見制度には、「法定後見制度」「任意後見制度」の2つがあります。
法定後見制度
法定後見制度は、本人の判断能力が不十分になった後に本人や配偶者、四親等内の親族、検察官などの申立てにより、家庭裁判所で成年後見人などを選任する制度です。判断能力の低下度合いによって、「後見」「保佐」「補助」の3つに分かれています。補助や保佐、後見によって成年後見人などのできることが変わるものの、日用品購入などの日常生活に関する行為はどの場合も除外されます。
後見
後見とは、通常時から判断能力が欠けている人を対象とした制度です。後見人は、法律行為と財産管理の代理権や取消権が与えられます。
保佐
保佐とは、判断能力が著しく不十分な人を対象とした制度です。保佐人には、民法第13条第1項に定める行為の同意権や取消権が与えられます。また、家庭裁判所の申立てにより、それ以外の事項についての同意権や取消権、特定の法律行為の代理権も与えられます。
補助
補助とは、判断能力が不十分な人を対象とした制度です。補助人には、家庭裁判所への申立てにより民法第13条第1項に定める借金や贈与、遺産分割協議、家の新築・増改築などの特定事項の一部についての同意権や取消権、特定の法律行為の代理権が与えられます。
任意後見制度
任意後見制度とは、本人の判断能力が十分あるときに、あらかじめ、本人と任意後見人との間で任意後見契約を締結する制度です。任意後見契約の締結には、公証人が作成する公正証書を利用する必要があります。なお本人の判断能力が不十分になった後に、申立てにより家庭裁判所が任意後見監督人の選任をしたときから、任意後見人は、任意後見契約で委任された事務を本人に代わって行います。任意後見人には本人の生活や療養看護、財産管理に関する事務についての代理権がありますが、法定後見制度にある同意権や取消権はありません。
成年後見制度が必要となるケース
成年後見制度が必要になるのは、本人だけで契約や手続きができない場合です。とくに預貯金の管理や解約が成年後見制度を利用する上で最も多いケースとなります。
預貯金の管理や解約
金融機関の預貯金を払戻したり、定期預金などを解約したりする場合には、原則として本人以外の手続きが認められていませんので、認知症などにより預金が払戻せなくなる恐れがあります。成年後見制度を利用すれば、本人の代理人として後見人が払戻しや解約手続きを行えます。
介護施設への入所
介護施設への入所手続きなどは、本人でなければ行えないことがあります。もし介護施設への入所を検討していて、認知症などで自ら手続きを行えない恐れがある場合、あらかじめ成年後見制度を利用するとスムーズに手続きできます。
不動産の処分
本人が認知症などによって長期入院したり、介護施設に入所したりすることで今まで暮らしていた家が空き家になります。入院費用や介護施設にかかる費用に充てるために、不動産を処分したいと考えることがあるでしょう。しかし不動産の処分は、本人以外の手続きが認められておらず、認知症などで意思表示ができない場合には成年後見制度で選任した成年後見人などでなければ代理行為を行えません。
なお、千葉銀行では、成年後見制度によらず、民事信託を活用して不動産の売却をサポートする仕組みづくりもサポートしています。
相続手続き
相続手続きでは、相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産分割協議書の作成が必要となるため、成年後見人などが必要です。
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利用者数の推移
成年後見制度の利用者数の推移は次の図のとおりです。
出典:厚生労働省「令和4年8月 成年後見制度の現状」
成年後見制度全体の利用件数は右肩上がりに増えています。利用者数が増加している背景には、高齢化の進行があり、今後も増加傾向になることが予想されます。
成年後見人にはどんな人がなれる?
実際に成年後見人制度を利用する場合、どのような人が成年後見人などになれるのでしょうか?
資格は必要ない
成年後見人などになる人には、必要な資格などはありません。一般的には、配偶者や親族、弁護士、司法書士が選ばれることが多いです。
なお成年後見人などになれない人は、民法第847条に定められており、「未成年者」「家庭裁判所に成年後見人、保佐人、補助人などを解任された者」「破産者」などがあります。
法定後見人は裁判所が決める
成年後見人などは申立人が希望する後見人候補者を立てていても、家庭裁判所が選任するため実際に選任される人が申立人の希望する候補者と異なることがあります。
なお家庭裁判所が選任した人が気に入らなくても、不正な行為を行っているなどの正当なな事由がなければ変更することはできません。
利用開始までの流れ
成年後見制度を利用する場合の相談先には、家庭裁判所や、市区町村の高齢福祉課、市区町村社会福祉協議会、地域包括支援センターなどがあります。事前に相談して、制度内容や必要書類などを確認するようにしましょう。
申立ては、本人や配偶者、四親等内の親族などが可能です。手続きしてから利用開始までの時間は、早くて1カ月から1カ月半で、遅くて半年近くかかることもあるため、早めに申立てると良いでしょう。
資産を安全に管理したいなら「財産管理信託」もおすすめ
千葉銀行では資産を安全に管理するために、「財産管理信託」という信託商品を提供しています。財産管理信託は、判断能力があるときから低下したときまで、そのときの状態に合わせて活用できます。
判断能力があるときは、「自分でねんきん機能」によって、信託財産から自身の預金口座で定期的に受け取ることが可能です。もし認知症などによって判断能力が低下した場合でも、「家族にまかせる機能」によって、家族の中から指定した手続代理人が信託財産から払戻しできるようになります。
資金の安全な管理に不安や心配があれば、千葉銀行の財産管理信託を活用することで認知症などで判断能力が低下したときも自身の金融資産の使用が可能です。
金融資産管理だけではなく、不動産の処分や各種契約の代理も含めてお願いするのであれば、成年後見制度を利用することとなるでしょう。しかし金融資産の払戻しや使用の面だけに不安や心配がある場合には、財産管理信託が活用できます。
資産管理のご相談は千葉銀行へお立ち寄りください
判断能力が不十分になる前やなった後でも成年後見制度を利用すれば、財産管理や契約手続きなどを成年後見人などが代理で行うことが可能です。しかしながら、高齢になると認知症などになる可能性も高まるため、事前に準備しておくことも有効です。
千葉銀行の財産管理信託もぜひご活用ください。
詳しくはこちら:ちばぎんの財産管理信託・遺言信託 | 千葉銀行
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